アリスのしっぽ

ジャックラッセルテリアのほたる、Mダックスのひなの&チャコ、ラブニエルのクララとの日常

2017-06

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13年後のクレヨンしんちゃん

友達に教えてもらった「13年後のクレヨンしんちゃん」

泣けます。そして、あらためて3姉妹を大切にしようと思いました。

長いので、時間のある時にどうぞ





僕はシロ、しんちゃんのともだち。

13年前に拾われた、一匹の犬。

真っ白な僕は、ふわふわわたあめみたいだと言われて。
おいしそうだから、抱きしめられた。



あの日から、ずっといっしょ。



「行ってきマスの寿司~~~~~~~~。」

あいかわらずの言葉といっしょに、しんちゃんは家から飛び出していった。

真っ黒な上着をつかんだまま、口に食パンをおしこんでいるところを見ると、今日もちこくなんだろう。

どんなに大きな体になっても声が低くなっても、朝に弱いのは昔から。

特に今年は、しんちゃんのお母さんいわく「ジュケンセイ」というやつだから、さらにいそがしくなったらしい。

たしかに、ここのところのしんちゃんは、あんまり僕にかまってくれなくなった。
しかたのないことだとしても、なんだかちょっと、うん。
さみしいかもしれない。



せめてこっちを見てくれないかな、と言う気持ちと、がんばれという気持ち。
その二つがまぜこぜになって、とにかく少しでも何かしたくなって。

小さくほえてみようとしたけれど、出来なかった。
なんだかとても眠たい。
ちかごろ多くなったこの不思議な感覚、ゆっくりと力が抜けていくような。
あくびの出ないまどろみ。

閉じていく瞳の端っこに、しんちゃんの黄色いスニーカーが映って。

ああ今日もおはようを言い損ねたと、どこかで後悔した。




ぴたぴたとおでこを触られる感覚に、急に目が覚める。
いっぱいに浮かんだ顔に、おもわず引き気味になった。
ひまわりちゃんだ。

「シロー。朝ご飯だよ。」

そう言いながらこちらをのぞき込んでくる顔は、しんちゃんに似ていて。
やっぱり兄妹なんだな、と思う。

「ほら、ご飯。」

ひまわりちゃんは、片手で僕のおでこをなでながら、もう片方の手でおわんを振ってみせる。
山盛りのドックフード。真ん丸な目のひまわりちゃん。

あんまり興味のない僕のごはん。
困った顔のひまわりちゃん。
僕は、それをかわるがわる見ながら、迷ってしまう。


お腹は減っていない。

ひまわりちゃんは、悲しそうな顔になって、僕の目の前にごはんを置いた。
そして、両手でわしわしと僕の顔をかきまわす。
ちょっとくるしい。

「お腹減ったら、食べればいいよ。」

おしまいにむぎゅうっと抱きしめられてから、そう言われた。

ひまわりちゃんは立ち上がると、段々になったスカートをくるりと回して、そばにあったカバンを持つ。
学校に行くんだ。

いってらっしゃいと言おうとしたけれど、やっぱり言う気になれなくて。
僕はぺたんと寝ころんだ。

へいの向こうにひまわりちゃんが消えていく。
顔の前に置かれたおちゃわんを、僕は鼻先ではじに寄せた。

お腹は、ぜんぜん空いていない。

ごはんを欲しいと思わなくなった。
おさんぽにも、あんまり興味はなくなった。

でも、なでてもらうのは、まだ好き。
抱きしめられるのも、好き。




「ジュケンセイ」というのが終わったら、しんちゃんは。
また僕をいっぱい、なでてくれるのかな。
抱きしめてくれるのかな。
そうだといいんだけど。



目を開くと、もう辺りはうすむらさき色になっていて。
また、まばたきをしているうちに一日が過ぎちゃったんだと思う。
ここのところ、ずっとそうだ。
何だかもったいない。
辺りを見回して、鼻をひくひくさせる。
しんちゃんの匂いはしない。

まだ、帰って来てないんだ。

さっき寄せたはずのおちゃわんのごはんが、新しくなっている。
お水も入れ替えられている。
のろのろと体を起こして、お水をなめた。
冷たい。

この調子なら、ごはんも食べられるかと思って少しかじったけれど、ダメだった。

口の中に広がるお肉の味がキモチワルイ。
思わず吐き出して、もう一度ねころがる。
夢のなかは、とても幸せそうな世界だった気がする。
僕はまた夢を見る。





しんちゃんと最後に話したのは、いつだっただろう。




僕はしんちゃんを追いかけている。
しんちゃんはいつものあかいシャツときいろいズボン。
小さな手は僕と同じくらい。



「シロ、おて」

「シロ、おまわり」

「シロ、わたあめ」

「ねえしんちゃん。僕はしんちゃんが大好きだよ」

「オラも、シロのこと、大好きだぞ。シロはオラの、しんゆうだぞ!」

わたあめでいっぱいのせかいは
いつもふわふわでいつもあったかで
いつまでもおいかけっこができる

いつまでも・・・。



また朝が来た。


でも、その日はいつもと違っていて。
しんちゃんのお母さんが、僕を車に乗せてくれた。
しんちゃんのお母さんの顔は、気のせいか苦しそうだった。




車はまっ白なお家の前で止まって、僕は抱きしめられたまま下ろされる。
そして一回り大きなふくろの中につめられた。
まっくらだ。どうしようか。

昔なら、びっくりしてあばれていたかもしれない。
でも今は、そんな力も出ない。

とりあえず丸くなると、体がゆらゆらとゆれた。
それがしばらく続き、次にゆれが収まって、足もとがひんやりとしてくる。



いきなり辺りがまぶしくなった。
目をしばしばさせていると、変なツンとした匂いがする手につかまれ、持ち上げられる。
いっしゅんだけ体が宙に浮いて、すぐに冷たい台の上に下ろされた。

真っ白い服を着た人が、目の前に立っている。
そばには、しんちゃんのお母さん。
二人が何かを話している。
白い人が、僕の体をべたべた触る。



しんちゃんのお母さんが、泣いている。
どうして泣いているのか解らないけれど、なぐさめなくちゃ。
でも、体が動かない。
またあの眠気がおそってくる。
起きていなきゃいけないのに。
なんとか目を開けようとしたけれど、ひどく疲れていて。




閉じていく瞳を冷たい台に向ければ、そこに映るのは、うす汚れた毛のかたまり。


なんて、みすぼらしくなってしまったんだろう。
ああそうか、僕がこんなになってしまったからなんだ。
だからなんだ。

だからしんちゃんは、僕に見向きもしないんだ。
おいしそうじゃないから。
あまそうじゃないから。

僕はもう、わたあめにはなれない。
わたあめ。
ふわふわであまあまの、くものかたまり。

いちど地面に落ちたおかしは、もう食べられないから。
どんなにぽんぽんはたいても、やっぱりおいしそうには見えないよね。



だけど、君はいちど拾ってくれた。
だれかが落として、もういらないって言ったわたあめを。
だから、もういいんだ。





何かにびっくりして、僕はまた戻ってきた。
見慣れた僕のお家。
いつもの匂い。
少し肌寒い、ゆうやけ空。
口の中がしょっぱい。



「なんで!!!!!!」


いきなり、辺りに大声が響いた。
びりびりと震えてしまうような、いっぱいの声。
重たい体をひきずって回り込んで窓からお家の中をのぞきこむ。

しんちゃんのお父さんとお母さん、ひまわりちゃん。
そして、僕の大好きなしんちゃんも。
みんなみんな、ないていた。


「母ちゃんの行った病院は、ヤブだったに決まってる!!オラが、他の病院に連れてくぞ!!!」

しんちゃんが、ナミダをぼろぼろこぼしながら、怒っている。
ひまわりちゃんも、うつむいたまま顔を上げようとしない。

「しんのすけ、落ち着け。仕方ないんだ。」

しんちゃんのお父さんが、ビールの入ったコップを握りしめたまま呟いている。

「仕方ないって、父ちゃんは・・・ホントにそれでいいの!!!???」

「良いわけないだろ!!!!!!」

しんちゃん以上のその大きな声に、だれもなにも言わなくなった。
その静かな中に、しんちゃんのお父さんの低い声が、ゆっくりひびく。


「しんのすけ、良く聞け。いいか、生き物はいつかは死ぬんだ。それは、僕たちも同じだ。・・・・もちろん、ひまやお前の母さんもそうだ。それが今。その時が、いま、来ただけなんだよ。解ってたことだろう?」



しんちゃんはなにも言わない。
しんちゃんのお母さんも続ける。

「あのね、ママが最初ペットを飼うのに反対したのはね、そういう意味もあるの。しんちゃんに辛い思いをさせたくなかったから・・・ううん。私自身がそんな辛いお別れをしたくなかったから。だから反対してたの。でも、もうこうなちゃった以上、仕方ないでしょう?せめて、最期を看取ってあげることが、私たちに出来る一番良い事じゃないの?」


「最期って!!!」





しんちゃんが泣いている。
ぼろぼろ泣いている。
手をぎゅっと握りしめて。
僕よりもずっと大きくなってしまった手を、ぎゅっとかたく。

僕の体のことは、たぶんだれよりも僕自身が一番知っていて。
でも、いいと思っていた。
このままでもいいって。
だって夢の中はあんなにもあったかくてあまくって。

だからずっとあそこにいても、かまわないと思ってたんだ。
それじゃだめなの?



しんちゃんがこっちを見た。
しばらく目をきょろきょろさせたあと、僕を見つけて、顔をくしゃくしゃにさせる。

「シロ。」

名前を呼ばれた。
本当に、ひさしぶりに。

「わん・・・。」

なんとか声が出た。
本当に小さくて、ガラス越しじゃあ聞こえないかと思ったけれど。
でも、たしかにしんちゃんには届いた。
しんちゃんが近付いてくる。
窓を開けて、僕に手をのばして。

「大丈夫、オラが、何とかしてやるぞ。」

やっと抱きしめてくれたしんちゃんの胸は、いっぱいどくどく言っていて、夢の中の何十倍も、とってもあったかかった。

ねえ、よごれたわたあめでも・・・。




僕は夢を見る。
何度目になるかわからない夢。
だも、それは今までとはちがう夢。




僕は段ボール箱に入っていて、そのはじをしんちゃんがヒモで三輪車に結び付けている。
三輪車がいきおいよく走る。

箱ががたがたゆれて、ちょっと気持ちが悪い。
ふいに、その箱から引っ張り出され僕は自転車のかごにのせられた。
小さな自転車。
運転しているのはしんちゃん。
せなかには真っ黒なランドセル。
シロに一番に見せてやるぞって、嬉しそうにしょって見せてくれたランドセル。

まだまだ運転は下手だったけど、とってもあたたかかった、春。

自転車のかごが一回り大きくなる。

くるりとまわると、しんちゃんは今度は、真っ白なシャツを着ていた。
自転車も新しくなっている。
もうよたよたしていない。
スピードも速い。

そういえば、よくお母さんに怒られたとき、ナイショだぞって、僕をこっそり布団の中にいれてくれたよね。
もちろん次の日には、お母さんに怒られるんだけど、それでもやめなかった。
二人だけのヒミツがあった、きらきらしてまぶしい、夏。



ぼんやりしていたら、ひょいとかごから下ろされた。
代わりに自転車を押しているしんちゃんのとなりに並んで歩く。


しんちゃんはずいぶん背が伸びて、お父さんと変わらないくらいになった。
お母さんと一緒に使っている自転車が、ぎしぎしと音を立てる。
でも、どんなに大きくなっても、きれいな女の人に目がいくのは変わらない。

こまったくせだなあと思いながらもどこか安心してる僕がいる。
いつまでも変わらないでいて欲しかった。
少しだけ乾いた風が吹く、秋。



寒い冬。

あんまり話してくれなくなった。
おさんぽも、少なくなって。
こっちを見てくれることも少なくなった。
見えるのは横顔だけ。


寒い冬。。
小屋の中で、ひとりで丸くなっていた、冬。


寒かった冬。
でも、冬は春への始まり。
あたたかな春への始まり。
爆破丸まって、わたあめのようになって、あったかいうでの中で。
春の始まりをまっている。

たとえそれがほんのいっしゅんのものでも。


かしゃんという、なにかがたおれる音がして、僕は目を開けた。
電灯がぽつりぽつりとついた、暗い道の真ん中で、見なれた自転車が横になっている。


のろのろと首を上げると、しんちゃんの前髪が顔に当たった。
道のはじっこのカベに、もたれかかるようにしてしゃがみ込むしんちゃん。

その体はひっきりなしにふるえていて、とても寒そうだった。
僕を抱きしめたまま、動こうとしないしんちゃん。
しんちゃんに抱きしめられたまま、動くことが出来ない僕。


ああだれか僕の代わりに、しんちゃんを抱きしめてあげて。


「ごめんな。ごめんなシロ。オラ、何も出来なかった。」

ぽつりぽつりと、しんちゃんが話しかけてくれる。

「いっぱい病院回ったんだ、でも、どこも空いてなくて。空いてるトコもあったんだけど、大抵シロを一目見ただけで・・・、何も。あいつらきっとお馬鹿なんだぞ。お馬鹿だから、何にも出来ないんだ。」

しんちゃん、泣いてるの?ねえ、泣かないで。

「でも、本当にお馬鹿なのは・・・オラだ。」

しんちゃんなかないで。

「オラっ・・・シロがこんなになってるの、気付かなくて・・・!!ずっと一緒にいたのに・・・親友だって・・・思ってたのに、なのに!!!」


なかないで、もういいから。

「シロ・・・・・・・・。」


しんちゃんが泣いている。
僕は何もできない。
せめて元気なところを見せようと思って、僕はしんちゃんのほっぺたをなめた。
しんちゃんのほっぺたは、少しだけ早い春の味。



僕がメスだったら、しんちゃんのために子供をつくっただろう。
僕が居なくなっても、寂しくないように。

僕がわたあめだったら、しんちゃんのためにせいいっぱい甘くなっただろう。
僕が食べられても、甘さが少しでも長く口に残るように。

僕が人間の手を持っていたら、しんちゃんを抱きしめただろう。
僕がしんちゃんにもらった、温もりを返すために。

僕が人間の言葉をしゃべれたら。

きっと、いっぱいいっぱいのありがとうとだいすきを、君に。



ひっきりなしにこぼれるナミダをなめながら、僕はあることに気が付いた。
僕はここを、今しんちゃんがすわりこんでいるここを、知っている。

ここは、僕と君が初めて会ったところ。
僕と君との、始まりの場所。



僕は待っていた。
あきらめながらも、いつか。
いつか、おっこちたわたあめでも。
あいしそうだって言ってくれる人が。
ひろいあげて、ぱんぱんってして。
まだ食べれるぞって、言ってくれる人が、来てくれるって。

「シロ。」

名前をよばれて、僕は顔を上げる。
しんちゃんが、笑っていた。
まだまだナミダでいっぱいの顔で、それでも笑っていた。
「シロ、くすぐったいぞ。そんなにオラの涙ばっか舐めてたら、しょっぱい綿飴になるぞ。しょっぱいシロなんて、おいしそうじゃないから。だからシロ、オラ、待ってるから。今度はオラが待ってるから。」

しんちゃん。

「だから、もう一度、美味しそうな綿飴になって。そんでもって、戻ってくるんだぞ。」


だいすき。


僕はしんちゃんに抱きしめられながら、さいごの夢を見る。

もういちど、わたあめになる夢を。

もういちど、おさとうになって、とかされて。
くるくるまわって、あまい、あまいわたあめになる。



目覚めたときに、だれよりも、君がおいしそうだって言ってくれるわたあめになるために。



ふわふわのわたあめ。
さくらいろの、あったかなわたあめ。
君が大好きだっていうキモチをこめた、君だけのわたあめ。






僕はシロ、しんちゃんのしんゆう。

13年前に拾われた、一匹の犬。

真っ白な僕は、ふわふわのわたあめみたいだと言われて。

おいしそうだから、抱きしめられた。

僕はシロ、しんちゃんのしんゆう。

今度はさくらいろの、ふわふわのわたあめになって。

君に、会いに行くよ。






鵠沼海岸5

アリス
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コメント

うんうん

 うん うん うん うん・・・
 みんなかわいい~ぃ。
 早く家に帰って みんな抱きしめるよ!
 

Re: うんうん

セディプママ様

私も、これを読んだ後早く家に帰りたくなりました!
ワンコ達は我が家の宝物です☆
今も職場で、アリスをぎゅと抱きしめて、ほたると遊んで、ひなのを抱っこしたい~とムズムズしてます。

考えたくないけど
いつかは必ずくる最後の別れ

うんうん

今を楽しく
めいっぱい幸せあげて幸せもらお~

今日もころとろ ワシャワシャします!

Re:

アオムシ様

そうだね、うんうん
今を目一杯楽しんで、今を大切にだね。
私も怒ってばかりいず、アリス達を褒めてわしゃわしゃ可愛がるぞ~

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アリママ

Author:アリママ
ジャックラッセルテリアの『ほたる』・ミニチュアダックスフンドの『ひなの』と『チャコ』・ラブラドールレトリバー&イングリッシュコッカーのミックスのラブニエル『クララ』、そしてお空の上の『チャラ』と『アリス』の日記です☆

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